マンション売却の重要ポイント

マンション売却の媒介契約の種類と良い仲介業者の見極め方

マンション売却の媒介契約の種類と良い仲介業者の見極め方

マンション売却をする時には不動産業者と契約を結ぶことになりますが、この仲介契約には複数の種類があることをご存じでしょうか?いずれも最終的には売却を目標としているため、契約内容に大きな違いはありませんが細かなところで異なる点がいくつかあります。

自身がどのような売却活動をしていくかで最適な契約形態も変わってくるため、しっかりと理解しておく必要があるといえるでしょう。今回はこの媒介契約の種類やメリット、デメリットの情報を中心に良い仲介業者を見極めるポイントなどを解説したいと思います。

媒介契約とは?

マンションだけに限らず不動産売却の話題になるとよく出てくるのが媒介契約という言葉です。マンションの売却を考えている方が自分で買い手を探すというのは非常に難しいです。そのため不動産業者が代わりに『マンションの購入を考えている方を探しましょうか?』と仲介するのが一般的であり、これを媒介(仲介)契約といいます。

この媒介契約にはさまざまな決まりがあり、これにより依頼者(売主)の保護や取引の安全などが保証されることになります。不動産業者は媒介契約を締結する際に複数ある契約形態の特徴や異なる点の説明、依頼者の意思を尊重する必要があります。

媒介契約は一般的に国土交通省が作成した『標準媒介契約約款』を使用しており、契約書を作成する際には宅地建物取引業法施工規則第15条の7第4号により標準媒介契約約款に基づくものであるか否かを明記する必要があります。つまり法律上は標準媒介契約約款を使用しなくても違反にはならないため『この不動産屋は標準媒介契約約款を使っていないから悪徳業者だ!』とはなりません。

ただし国土交通省でも特殊な事情がない限りは標準媒介契約約款を使用することを指導しているため、契約を締結する時に標準媒介契約約款が活用されていない場合はどのような理由で使っていないのかを確認してみましょう。

また締結した契約の種類によって不動産業者は指定流通機構であるREINS(レインズ)に登録することを義務付けられており、これにより他の不動産会社にもマンション情報を提供して最適な買主を探すことが可能となります。

3つの媒介契約の特徴を徹底解説!

マンション売却の3つの媒介契約の特徴を解説した図

媒介契約が大体どのようなものであるかが理解できたところで今度は各媒介契約の特徴や内容の詳細などを見ていきましょう。不動産会社と結ぶことができる媒介契約の種類は3つあります。

  1. 専属専任媒介契約
  2. 専任媒介契約
  3. 一般媒介契約
専属専任媒介 専任媒介 一般媒介
他社への仲介依頼 NG(1社のみ) NG(1社のみ) OK(複数可)
レインズへの登録 必ず登録
(5日以内)
必ず登録
(7日以内)
任意
販売状況の報告 1週間に1回 2週間に1回 任意
売主が買主を探す NG OK OK
契約期間 最大3ヶ月 最大3ヶ月 無期限

1. 専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は3つの媒介契約の中で最も売主に対する拘束力が強いといわれています。この契約を締結すると他の不動産業者に仲介を依頼することは禁じられます。また自力で見つけた買い手が現れた場合でも売主と買主の間での直接取引は不可能です。

これは例え自分の知り合いや身内の方でも同様の決まりとなっています。前述のように専属専任媒介契約は依頼者にとっては拘束力が強いという特徴を持っているため、不動産業者に対する法規制がいくつかあります。

1つ目は媒介契約の有効期間であり、これは最大で3ヶ月と定められています。なお、契約更新の場合も最大3ヶ月であり、仮に3ヶ月以上の契約を締結しても有効期間は3ヶ月と見なされます。
逆にここで3ヶ月以上の契約を迫る仲介業者は悪徳の可能性もあるので注意をしておきましょう。

2点目は先ほどの媒介契約とは?でも取り上げた指定流通機構のREINS(レインズ)への登録義務です。専属専任媒介契約を締結した不動産業者は締結した日から5日以内にREINSへの登録が義務付けられています。

3点目は業務を遂行していく上での報告義務。専属専任で契約を締結した仲介業者は仲介に関する業務の報告を依頼者にする必要があります。

仲介に関する業務とは現在の販売状況などが該当しますが、このような決まりがあることで不動産会社に適切な業務遂行を促せるとともに依頼者も仲介業者の活動を把握できます。報告頻度は専属専任媒介契約の場合は1週間に1回です。

2. 専任媒介契約

専属専任媒介契約から『専属』という文字がとれた契約が専任媒介契約です。専任媒介契約の特徴は専属専任と同様に他の不動産業者に仲介を依頼することは不可能となります。ただし専任媒介契約は自力で見つけてきた買い手に関しては、不動産業者を通さずに直接取引が可能です。

これが専属専任媒介契約との大きな違いとなります。しかし専任媒介契約も他の不動産業者の仲介が認められていないため、複数のルールが定められています。

まず有効期間ですが専任媒介契約のケースでも最大で3ヶ月となります。この点は契約更新でも変わることなく専属専任媒介契約と同様です。

そして指定流通機構のREINSへの登録に関しては専属専任より2日余裕がある契約締結から7日以内です。また仲介業務の報告義務に関しても専属専任が1週間に1回であるのに対し、専任媒介契約は2週間に1回となります。

登録や報告に関しての義務は専属専任よりもゆとりがありますが、基本的には専属専任と専任の大きな違いは自力で買い手を見つけてきた場合に直接取引ができるか、できないかと覚えておくのがいいでしょう。

3. 一般媒介契約

一般媒介契約は専属専任や専任の媒介契約と異なり、同時に複数の不動産業者に仲介依頼をすることができます。自力で買い手が見つかった場合でも不動産業者を通すことなく直接取引が可能です。

また契約期間に有効期限がなく、REINSへの登録も義務付けられてはいません。専属専任や専任に義務付けられていた売主への業務報告を行う必要もないため、3つの媒介契約の中で最もオープンといえる契約形態ともいえます。

一般媒介契約には明示型と非明示型があり、明示型は他にどこの不動産屋と契約を締結したかを通知します。一方の非明示型は他の不動産屋との締結情報を通知しない方法です。買い手の窓口を増やすのが一般媒介契約の大きな特徴といえるでしょう。

各媒介契約のメリット・デメリットとは?

各媒介契約のメリット・デメリットとは?

専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つの契約形態の特徴を取り上げましたがここでは各媒介契約のメリットとデメリットをまとめましたのでご覧ください。

専属専任媒介契約のメリット・デメリット

専属専任媒介契約のメリットは不動産業者の報告頻度が3つの契約の中では最も多いため、売主が安心できるのと販売状況を確認しやすいというのがあります。やはり仲介依頼した業者から1週間に1度でも連絡があると『しっかりと買い手を探してくれているんだな』というホッとした気持ちにもなりますし、不安感の軽減にもつながります。

逆に何週間も連絡がないと『今の販売状況はどうなっているんだ!?』『不動産屋から何の音沙汰もないけどしっかりとやっているのか?』という気持ちにもなります。この報告義務を怠った仲介業者は信頼度が落ちるため、有効期限が過ぎるのを待って新たな仲介業者を探すことも考えておきましょう。

マンションをできるだけ高く売るには仲介業者とこまめなコミュニケーションをとることも大切です。

また専属専任媒介契約のもう一つのメリットは仲介業者の本気度です。前述のように専属専任は他の不動産業者には仲介を依頼できない契約形態のため、買い手が見つかればその時点で仲介業者には手数料が確約されるということになります。

また売却の話がスムーズにいかない場合は有効期間が過ぎた後に仲介業者を変更させられてしまうかも、というプレッシャーもありますから不動産会社も必死にならざるをえない契約といえるのです。

逆に専属専任媒介契約のデメリットは先ほども取り上げましたが、自力で見つけてきた買い手でも直接取引が不可能という点です。そのため自力で探索して買主が見つかりそうという可能性がある場合は専属専任媒介契約はあまりおすすめできません。

また仲介業者1社のみに全てを任せるため、不動産業者の力量が低いといつまで経っても売却ができないという状況もあります。売主にとってはこのようなデメリットもあるため、専属専任媒介契約には有効期間の3ヶ月というルールが定められているのです。

メリット

  • 仲介業者からの報告頻度が最も多い
  • 仲介業者の本気度が高い
  • 仲介業者が広告費をかけて宣伝してくれる

デメリット

  • 自力で探してきた買主との直接取引が不可
  • 仲介を依頼した不動産業者の力量が低ければ売れない

専任媒介契約のメリット・デメリット

専任媒介契約は専属専任と比較してもそう大きく変わる部分はありません。最も大きな違いは先ほども取り上げましたが自力で探してきた相手と直接契約ができる自己発見取引が可能ということです。

これが専属専任にはない専任媒介契約の大きなメリットとなります。また専任媒介契約も他の不動産業者の仲介が禁止されているため、広告費をかけて積極的に営業活動を行ってくれます。

売主への報告頻度は専属専任に比べると落ちますがそれでも2週間に1度連絡があるとわかっていれば依頼する側としては安心することができますね。REINSへの登録義務もあるため、全国の買い手に物件情報を見てもらうことも可能です。

専任媒介契約の注意点としては契約した不動産業者によっては自己発見取引をした場合に売り出すのに使った営業費用のみ請求される可能性があることです(仲介手数料は請求されません)。

この点は必ず契約を締結する前に不動産業者に確認するようにしましょう。その他ではやはり専任媒介契約も仲介業者1社のみに頼ることになるため、不動産業者の力量次第では全く売れる気配がないという可能性もあります。

メリット

  • 自己発見取引が可能
  • 他の不動産業者に依頼できないため仲介業者の本気度が違う
  • 報告も義務付けられており安心感がある

デメリット

  • 1社のみに任せるため依頼した業者の力量次第では売れない
  • 自己発見取引は可能だが営業費用を請求する仲介業者もある

一般媒介契約のメリット・デメリット

3つの契約の中で最もオープンな一般媒介契約。一般媒介契約のメリットは複数の不動産業者に仲介を依頼することが可能となるため、買い手の窓口が増えるという点です。もちろん自分で発見してきた買主との直接取引もOKです。

専任媒介契約で請求される可能性がある営業費用なども一般媒介契約では支払う必要もないため、売主にとっては煩わしさが少ないという精神的メリットもあります。ただし一般媒介契約には専属専任、専任媒介契約で定められていた売主への業務報告は義務付けられていないため、現在の販売状況の詳細がわかりにくいというデメリットがあります。

もちろん良心的な不動産業者であれば、連絡をくれることもありますが義務ではないため売主側としても仲介業者に強制することはできないということを理解しておいたほうがいいでしょう。また一般媒介契約は買い手の窓口が増えますが、逆に不動産業者の本気度は落ちます。

これは不動産売買の基本を見れば理解できますが、仲介業者というのは物件を売ることで売主、買主から手数料を得て利益を上げています。これが専属専任や専任契約であれば『他の不動産屋は入ってこないから確実に利益はうちのもんだ!』となりますが、複数の業者に仲介を依頼できる一般媒介だと仮に広告費を大きくかけても他の不動産屋で成約となれば利益は上げられないわけです。

つまり『絶対に利益になると断言できない物件に対して大きなお金をかけるのは難しいよ』ということですね。これが一般媒介契約の大きなデメリットの一つでもあります。

また全国の買い手に物件を見せることができるREINSへの登録義務もないため、マンションの情報が思ったより広がらない可能性もあるでしょう。最もオープンでメリットが多そうな一般媒介契約にもデメリットというのはあります。

メリット

  • 複数の業者に依頼することができ、買い手の幅が広がる
  • 自己発見取引が可能(手数料や営業費用を請求される心配もなし)

デメリット

  • 大きなお金を使っての宣伝をしにくい
  • 販売状況などの報告義務がない
  • REINSへの登録義務もないため物件情報が広がらない

良い仲介業者を見極めるポイントとは?

良い仲介業者を見極めるポイントとは?

ここまで各媒介契約の特徴やメリット、デメリットを紹介しましたがこれらを踏まえた上で良心的な仲介業者を見極めるポイントをまとめましたので解説したいと思います。

やたらと専属専任、専任契約を勧めてくる業者は要注意

不動産業者の立場からしてみると確実に仲介手数料が入る専属専任、専任で契約を締結したいと思うのは当たり前のことです。これ自体は別に悪いことではありませんし、自社の利益を上げるための努力ともとれます。

しかし売主側がマンション売却の知識がない素人というのをいいことに、嘘をついてまで専属専任、専任の契約を締結しようという業者もいるので注意が必要です。具体的には『一般媒介契約では全く売れませんよ!』というものですね。

一般媒介契約で売れないという可能性も前述のデメリットで伝えたように確かにあるでしょう。しかし有効期間内に買い手を見つける必要がある専属専任や専任契約と異なり、時間的制約が少ない一般媒介契約でゆっくり時間をかけることで多少価格が高くても購入を希望する買主が見つかる場合もあるのです(もちろん絶対とは限りません)。

この一般媒介契約ならではのメリットを依頼者に伝えずにデメリットばかりを突いてくる業者は信用度が落ちるため、残念ながら手を引いたほうがいいでしょう。また不動産業者が専属専任、専任を希望する理由ですが『両手仲介』を狙いやすいためです。

両手仲介とは売主と買主の両方を自社で見つけて双方から仲介手数料を得ることです。良心的な不動産業者のためにも伝えておきますが、この両手仲介は決して違反ではありません。これもライバルの多い不動産業界では立派な戦略の一つといえます。

ただし悪徳に近い不動産業者になると他の業者に物件情報を教えなかったり、他社から購入希望者がこちらで見つかったという連絡があっても『もうそのマンションは買主が見つかったんですよ』と嘘をつくこともあります。

良い不動産屋であれば仮に一般媒介契約を希望しても『契約の特徴上、あまり多くの広告費をかけることはできませんが一度やってみますか?』とメリット、デメリットをしっかりと依頼者に伝えてこちら側の意思を優先してくれます。頑なに専属専任媒介契約、専任媒介契約を勧めてくる業者には十分注意しましょう。

REINSへの登録がしっかりされているか確認する

一般媒介契約においては強制ではありませんが、専属専任と専任媒介契約ではREINSへの登録が義務付けられています。REINSにマンション情報を登録するメリットは前述のように地元だけでなく全国の方に見てもらえるという点であり、これにより買い手が見つかりやすくなります。

ただし悪徳業者の場合はREINSへの登録が義務付けられている契約内容にも関わらず、両手仲介を狙う目的や他の不動産業者に情報を流したくないという魂胆で登録をしないことがあります。これを不動産業界では『情報の囲い込み』ともいいます。

このような悪徳業者は残念ながら意外と多いため、REINSに登録したかどうかをしっかりと確認する必要があるでしょう。REINSは古くから不動産業者のみが閲覧できる仕組みでしたが、2016年1月から売主限定で一般の方も閲覧が可能となり、これにより自分の物件が登録されているかを確認することができるようになりました。

これは情報の囲い込みを防ぐための目的でもあります。悪徳業者になるとREINSに登録した後に発行される『登録証明書』を売主に渡して、安心感を植え付けさせておいてからすぐに物件情報を削除するという不動産業者も残念ながらあります。

しかし売主だけでもREINSの閲覧が可能となったため、現在では不正がしづらい環境になっているといえます。自身の物件がREINSに登録されているかは良心的な業者を見極める上では非常に大切です。

売主の希望を尊重してくれるか?

やはり良い不動産業者を見極めるポイントは最終的には売主の意思をしっかりと尊重してくれるかどうかです。前述のように不動産業者にとっては専属専任や専任契約のほうが得をするため、最初は一般媒介契約の話題はあまり出してきません。

ここで『それでも一般媒介契約でお願いします』と伝えて担当者が嫌な顔をした場合にはその不動産業者に依頼するのをやめましょう。そのような業者は少し言い方はキツイですが所詮そこまでの不動産屋です。仮にその後、契約を締結したとしても本気で営業するとは思えません。

良心的な不動産屋であれば『かしこまりました、では依頼者様の意思を尊重してとりあえず一般媒介契約から始めてみましょう、その後のことは状況を見て一緒に判断していきますから何か疑問点があれば気軽に相談してくださいね』と売主側の立場に立って考えてくれます。

また仮に専属専任、専任契約を希望する場合でもメリットとデメリットをしっかりと伝えてくれる業者が好ましいですね。一般媒介契約はデメリットしか伝えないけど専属専任媒介契約、専任媒介契約はメリットばかり伝える業者というのは少し疑ってかかるようにしましょう。

まずは一般媒介契約で良心的な業者を探すのがおすすめ

ここまで良い仲介業者や契約形態などについて解説しましたが、実際にどの不動産屋が良心的かというのは経験してみないとわからないことが多いと思います。そのため最初は1社のみに依頼する方法ではなく複数の業者に仲介依頼を出すことができる一般媒介契約を選択することがおすすめです。

一般媒介契約で複数の業者とコンタクトをとっていくことで『この不動産屋は対応が少し雑だな・・・』『この営業マンは誠実でメリット、デメリットをハッキリと伝えてくれるな』など自分の中で印象が良い不動産屋と悪い不動産屋というのがわかってきます。

これらを判断材料にし、最終的に自分が最も信頼できる仲介業者1社におまかせすることで大きな失敗を防げる可能性も高まります。複数の業者に査定を依頼するにはインターネットの一括査定サイトから行うことが可能です。

良い、悪いを見極めることが大切となるため少なくとも10社ほどの不動産業者と契約を結ぶようにしましょう。マンションを少しでも高く売るには良心的な不動産業者との出会いが必要となります。時間をかけてゆっくりと仲介業者探しをしてください。